はじめに
待ちに待った夏休み到来!楽しみな予定も多いのではないでしょうか?
夏休みの宿題の定番と言えば「読書感想文」ですが、どんな本を選べばいいのか、何を書いたらいいのか、頭を悩ませている・・・という声もよく聞きます。
それもそのはず。一般的に日本の教育課程では「作文(ライティング)」の指導を専門的に受ける機会はほとんどありません。文章のまとめ方がわからない、書けない・・・というのは当然の悩みと言えるでしょう。
読書感想文にはコツがあります。何より、読書感想文は読書や作文を好きになるきっかけとして貴重な機会。さらに、入試にも直結する「考える力」や「表現する力」も磨かれます。
元報道記者で、教育会社では中高生向けにロジカルライティングのワークショップを行い、現在は複数の大手企業でビジネスライティングの研修を行うなど、子どもから社会人まで述べ1万人以上にライティングを教えてきたチエコトバ代表が、小学生向けに読書や作文がもっと好きになる読書感想文の書き方を解説します。
なぜ読書感想文が夏休みの宿題なの?
夏休みの宿題として読書感想文は定番中の定番。筆者が小学生の頃から夏休みの宿題と言えば読書感想文でした。一方で、読書感想文に苦手意識を持つ子どもは今も昔も多いのが現実です。
そもそも、読書感想文が夏休みの宿題の定番である理由は何でしょうか?宿題を出す学校、先生の立場から考えてみましょう。
読書感想文の目的は大きく2つあります。ひとつめは「読書の楽しさを知ること」です。読書の世界を広げるきっかけ作りとして読書感想文の宿題を活用しているのです。実際に、宿題がなければ出会わなかったという本もあるのではないでしょうか?
読書の良さはたくさんあります。読書によってたくさんの言葉に触れられ、思考や表現の幅が広がります。また物語の登場人物を通していろいろな人の考え方や価値観、生き方を知れます。迷ったり落ち込んだりしたときに、1冊の本に勇気づけられた、指針をもらったという経験をした方も多いのではないでしょうか?読書感想文の宿題がきっかけで、そんな読書の楽しさに触れられれば素敵ですね。
もうひとつは「自分の考えや思いを文章にする力を育む」ことです。読書感想文は、本のことを書くのではありません。自分のことを書くのです。読書を通して「私はこう感じた。考えた」という感想をアウトプットすることが求められています。シンプルですが、非常に重要な原則です。読書感想文があらすじに終始してしまうのは、この観点が欠けていることが多いのです。読書感想文を通して「考える」そして「人にわかるように伝える」練習をしてほしいと思います。
読書感想文がすいすい書けるようになる3つのコツ
では、どのようにすれば読書や作文が楽しくなる読書感想文が書けるようになるのでしょうか?
3つのポイントをご紹介します。
コツ① 「面白い!」と思える本を選ぶ
ひとつめは本の選び方です。ここが最も重要です。本選びによって読書感想文の取り組みやすさも楽しさも大きく変わります。読書感想文は「私の感想」を伝える文章です。スタート地点は「自分」。何度も言いますが、読書感想文は本のことではなく自分のことを書くのです。そのためには自分が読んで「面白かった!」「ぜひ感想を誰かに伝えたい!」と思える本を選びましょう。
課題図書から選ぶ場合も、好きな分野・興味がある分野のものがオススメです。チエコトバがベースにしているモンテッソーリ教育でも、興味関心を出発点にしています。なぜなら、それが最も子どもの主体性や集中力を引き出すからです。親や先生が読んでほしい本、ではなくてお子さま自身が「読みたい本」を選びましょう。
多くの小学校が参加する第70回(2024年度)青少年読書感想文全国コンクールの課題図書も様々なジャンルから選定されています。絵本や物語、感動のノンフィクション、科学の解説本など、「こんな本があったんだ」「この学年だとこれくらいのボリューム・内容が適しているのか」という発見があるはずです。一部を下記に挙げています。
■小学校低学年の部 アザラシのアニュー 作・絵:あずみ虫 出版社:童心社
アザラシのあかちゃんが懸命に成長する姿を描いた、大冒険の物語。絵本なのでとても読みやすいです。動物や自然、環境問題などに興味があるお子さまにぴったり。
■小学校中学年の部 聞いて 聞いて!音と耳のはなし 文:髙津修、遠藤義人 絵:長崎訓子 出版社:福音館書店
音のヒミツと耳のしくみがわかる科学絵本。イラストがわかりやすく、物知りになれます。理科が好き!物事のしくみを知りたい!というお子さまの世界を広げてくれるでしょう。
■小学校高学年の部 海よ光れ!3・11被災者を励ました学校新聞 作:田沢五月 出版社:国土社
東日本大震災の避難所となった小学校で子どもたちが取り組んだこととは…。震災の後に生まれた子どもたちに読んでほしいノンフィクションです。同じ小学生だからこそ、彼らが感じたこと、考えたことが響くのではないかと思います。
コツ② いきなり原稿用紙に書かない!素材を洗い出そう
本を読んだらいきなり原稿用紙の1文字目から埋めようとするお子さまが多いのですが、ちょっと待ってください。いきなり書いても伝わる文章にはなりません。たいていの場合、あらすじをなぞって終わりになるでしょう。文章を書く前に、文章の素材を洗い出す工程が重要です。
まずは付箋やノートなどに、下記の項目を参考にメモをしてみましょう。この段階ではきれいにまとまっていなくてOKです。
- この本を選んだ理由は?
- 本を読んで心に残ったことは?
- 一番気になったページ(台詞・登場人物)は?
- 自分ならどうする?(もしも登場人物だったら?)
親子で会話しながら深められるといいですね。「ここが面白かった」「主人公のこういうところが好き・嫌い」というコメントが出てきたら、「どうして?」と理由や根拠を引き出すサポートをしてあげましょう。
コツ③ 素材から作戦を立てる
ここまで準備できてはじめて構成にうつります。一般的な作文は「はじめ」「なか」「まとめ」の3パートで構成されます。
読書感想文も同じように構成しますが、大事なのはどの内容をメインで構成するか作戦を立てることです。
コツ②で最もたくさん感想が出てきた項目を中心に構成すると書きやすくなります。例えば、登場人物と似たような経験がある(大好きな友達とケンカして素直に謝れなかった、ケガでスポーツを諦めたなど)場合は、コツ②の「●自分ならどうする?」をメインに構成すると「自分の考え」が伝わる文章になります。登場人物とどんなところが似ているのか、どこが違うのか、その経験から学んだことは何かなどを書きましょう。
他のアプローチとしては、気になったページや主人公の行動がある場合は、なぜそこが気になったのか自分の考えを掘り下げるのもいい作戦ですね。
いずれにしても「自分のこと」を書くので、間違いはありません。自由に書いていきましょう。
そして書き上げたら必ず推敲(読み直してよりよい文章に練り上げる)をしましょう。できれば家族などいろいろな人に読んでもらって感想を聞けるといいですね。
読書感想文は、上手な文章を書くことがゴールではありません。アウトプットまでの一連のプロセスこそが学びです。本を選び、読み、考え、書くプロセスを通して「考える力」「表現する力」が磨かれます。記事を参考に、ぜひ楽しみながら読書感想文に取り組んでくださいね。
チエコトバ式 読書や作文がもっと好きになる夏休み読書感想文ワークショップ開催
とはいえ、一人で読書感想文を書くのはハードルが高いもの。ぜひチエコトバの読書感想文ワークショップにお越しください。
モンテッソーリ教育をベースに自ら学ぶ力を育む東京・新宿の「チエコトバ」では、小学生を対象に夏休みに読書や作文がもっと好きになる読書感想文ワークショップを開催します。
チエコトバ代表は、子どもからビジネスパーソンまで述べ1万人以上に教えてきた文章表現/思考力の専門家です。これらの経験とモンテッソーリ教育で培った本質的な学びのメソッドを活用して、お子さま一人ひとりに合った指導を行います。
あらすじを書くだけではない、きれいにまとめるだけではつまらない、宿題のための作文なんてもったいない。モンテッソーリメソッドを盛り込んで、読書や作文そのものが好きになる読書感想文のコツを少人数で対話をしながら学びます。
残席わずかとなっております。お早めにお申し込みください。
読書感想文を通してさらに成長する夏休みにしましょう!
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