幼児期の勉強どうする?小学校入学後に伸びる幼児期の学び方

はじめに

モンテッソーリ教育をベースに自ら学ぶ力を育む東京・新宿の幼児教室『チエコトバ』では、先日「未来を切り拓く小学校受験」セミナー(内容はこちら)を開催しました。ご参加者から「ペーパーがはかどらず周囲を見ると焦りばかりでしたが、学びの本質を考えさせられました」「中学受験予定ですが、幼児期のうちから学ぶことを楽しいと思えるような働きかけをしたいです」などのお声をたくさん頂きました。

チエコトバでは、小学校受験するかどうかに関わらず、幼児期に「小学校入学後の学びに向かう土台を作ること」が大事だと考えます。それは、小学校入学後に始まる教科学習の土台をつくることにほかなりませんが、決して机上の勉強、例えば「ペーパーを何枚解くか」「いかに早く小学校の学習の先取りをするか」といったことではありません。

幼児期の発達や、ものの見方や考え方を知ったうえで無理なく学ぶことが、小学校入学後、その先の未来につながる「生きる力」につながります。本記事では、小学校入学後に伸びる幼児期の学び方について解説します。

幼児期の終わりまでに育ってほしい10の姿

「小学校に入学するまでに簡単な足し算引き算ができた方がいい」

「カタカナまではマスターしておいた方がいい」

ネットやSNSでは、様々な意見が見られます。最近では、とにかく先取りをした方がいいという考えが幼児教育に浸透していることを感じます。

チエコトバでは、このような形式だけの早期教育には反対の立場です。

では、小学校入学時までにどんな力が身についていればいいのでしょうか?

参考になるのが、小・中・高校の「学習指導要領」にあたる「幼稚園教育要領」「保育所保育指針」「幼保連携型認定こども園教育・保育要領」で示されている「幼児期の終わりまでに育ってほしい10の姿」です。

下記をご覧ください。

小学校に入学すると、机で勉強する時間が多くなります。遊びが中心だった保育園や幼稚園の生活と大きく異なります。

保育園や幼稚園と小学校をスムーズにつなぐために、すべての幼稚園や保育園などで、この「10の姿」を意識した教育・保育を行うこととされています。

重要なのは、これらの姿はテストで測定されるものではないということです。「〇点だからこの項目は到達できている」と判断するのではありません。日常の遊びや生活のなかで、このような姿や言動が表れているかというプロセスを観察するために活用されます。

例えば、「数量や図形、標識や文字などへの関心・感覚」の具体的な姿として、「生活や遊びを通じて、自分たちに関係の深い数量、長短、広さや速さ、図形の特徴などに関心をもち、必要感をもって数えたり、比べたり、組み合わせたりする」という例が挙げられています。

家庭でいえば、家族でお菓子を分けるときに、同じ数だけわけようとする、ブロックを「三角、四角・・・」などに分類している姿などは、まさに「数量や図形、標識や文字などへの関心・感覚」の育ちの姿です。

これらは、小学校の算数の基礎になります。

ほかにも、「思考力の芽生え」の具体的な姿として、「物との多様な関わりとの中で、物の性質や仕組みについて考えたり、気付いたりする」という例が挙げられています。このような考える力は、教科学習の土台になる力です。

これら10の姿は、小・中・高校の「学習指導要領」で示され、学校教育全体を通して育む力である「(実際の社会や生活で生きて働く)知識及び技能」「思考力、判断力、表現力」「学びに向かう力、人間性」という3つの資質・能力(いわゆる「3つの柱」)の基礎となります。

幼児期は、小学校以降につながる3つの資質・能力の基礎を、豊かな体験や遊びを通じて育んでいく時期だということをはじめに押さえておくことが重要です。

幼児期の発達の特徴を知り、最適な学び方で学ぶ

幼児期にふさわしい学びとは、幼児期の発達やものの見方や考え方に沿った学びであると言えるでしょう。幼児期の発達やものの見方や考え方に沿った学びは、無理なく、何より楽しく学ぶ力を引き出します。

幼児期は、抽象思考や論理的思考はまだ難しい時期です。だからといって、例えば幼児に算数を教えることはできないというわけではありません。チエコトバで行っているモンテッソーリ教育でも、子どもを観察した結果、幼児に算数を教えることは十分に可能であると考えています。

モンテッソーリ教育の『算数教育』では、無理のない形で数の世界を理解します。具体物である算数教具を使い、具体から抽象への流れをたどります。

これは、幼児期の学びに広く活用できる考え方です。数を学ぶ際にも数値化された世界、ペーパー学習から入るのではなく、子どもの生活場面に合わせて学ぶことで無理なく理解を深めていけるのです。

例えば

  • 電線に鳥が3羽止まっていました。そこに2羽やってきました。今何羽いますか?
  • お母さんと子どもが5個ずつアメを持っています。お母さんが子どもにアメを1個あげたら子どものアメは何個になりますか?
  • チョコレートが6個あります。3人のお友達に同じ数だけチョコレートを配りたいです。何個ずつ配ったらいいでしょうか?

このような場面(数の変化)は、生活や遊びのなかで実際に多く見られます。そして、そこに算数の基礎、四則演算の基礎になる考え方があるのです。幼児期に大事なのは、計算力を高めることではなく、算数につながる考え方の基礎を身につけることなのです。

また、幼児期の特徴として、感覚器官が洗練されることが挙げられます。これは知性の萌芽につながります。

また、自分の意志通りに動く身体をつくる時期でもあります。

モンテッソーリ教育では、「子どもは動きながら学ぶ」とよく言われますが、知性・抽象概念は動くことで獲得されます。

つまり、幼児期は身体、五感、具体物を使った学びが効果的なのです。

具体物を使った学びの良さは、自ら試行錯誤できる点にあります。チエコトバでのレッスンを見ていても、子どもたちは「ああでもない。こうでもない」と主体的に教具に働きかけ、試行錯誤します。だからこそ、発見した時の喜びは大きく心に強く残ります。

テクニックや詰め込みで知識を注入しても時間が経てば忘れてしまいます。これは保護者の方も経験があるのではないでしょうか?

日々大きく成長する子どもたちの持つ力を最大限に伸ばしてあげたいという思いから、ついつい詰め込みや先取りをしてしまうこともあるかもしれません。子どもには様々な可能性があります。一方で、発達上幼児の能力の限界はあるということも知っておくべきでしょう。

他者との関係性のなかで学ぶ、体験から学ぶ

幼児期の終わりまでに育ってほしい10の姿では、「協同性」や「社会生活との関わり」など 他者との関係も多くあげられています。

「協同性」では、「友達と関わる中で、互いの思いや考えなどを共有し、共通の目的の実現に向けて、考えたり、工夫したり、協力したりし、充実感をもってやり遂げるようになる」という姿があげられています。

また、「道徳性・規範意識の芽生え」では、「友達と様々な体験を重ねる中で、してよいことや悪いことが分かり、自分の行動を振り返ったり、友達の気持ちに共感したりし、相手の立場に立って行動するようになる」といった姿があります。

これらは、一人で身につけるのが難しい力であり、人や社会における関係性の中で育つものです。このことからも、幼児期は机上の勉強だけではない、様々な体験が重要であることがわかります。

また、実際に触れられる自然体験も大切です。ネットでなんでも見られる時代だからこそ、五感と身体で感じた体験はかけがえのないものになるでしょう。

ご家庭でも身体感覚や五感を存分に発揮できるような体験を意識できるといいですね。

幼児期に最適な学び方を体験してみませんか?

モンテッソーリ教育をベースに自ら学ぶ力を育む東京・新宿の幼児教室『チエコトバ』では2歳半~6歳(新年長)のお子さまを対象に、モンテッソーリコースの体験レッスンを開催しています。

モンテッソーリ教育では、目でみて分かる具体的な教具を操作しながら知性や抽象概念を身につけます。幼児期の発達やものの見方や考え方に沿った学びだからこそ、子どもたちは学ぶ楽しさを体感します。小学校入学以降も主体性や集中力を発揮し、自ら学ぶ子どもたちが多いと言われる理由でもあります。

幼児期に最適な学び方を、この機会にぜひ体験してくださいね。

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