「あれ」「これ」で済ませていない?幼児期に「ことばの力」を育む3つの方法 

はじめに 

自分の考えを伝えたり、他者と協働したりするのに「ことばの力」はとても重要です。また、「ことばの力」は小学校以降の学力の基盤にもなりますし、思考力や表現力にも直結します。今注目の非認知能力とも密接な関係があります。 

このように重要な「ことばの力」を幼児期に育むためには、どうすればいいのでしょうか? 

報道記者・雑誌編集者のキャリアを経て、現在も多くの企業で「文章力」「表現力」向上研修を担当しているチエコトバ代表が、子育て中の保護者の方にぜひ伝えたい幼児期から「ことばの力」を育む方法を3つ紹介します。 

「ことばの力」は小学校以降の学力の基盤になる 

「うちの子、ことばが遅い気がするのですが・・・」「なかなかことばが出てこなくて・・・」 

子育て中の保護者の方から、ことばに関するお悩みをよく聞きます。 

自分の考えを伝えたり、他者と協働したりするのに「ことばの力」はとても重要です。「ことばの力」は、知性の発達や文化の創造にも欠かせません。さらに、「ことばの力」は小学校以降の学力の基盤にもなりますし、思考力・表現力にも直結します。また、今注目の非認知能力とも密接な関係があります。 

チエコトバでも、「ことばの力」は未来を切り拓く重要な力であると考えており、名前の由来にもなっています。 

「ことばの力」を高めたいとお考えの子育て中の保護者の方も多いのではないでしょうか? 

実は幼児期は「ことばの力」を育むのに最適な時期なのです。 

モンテッソーリ教育には、「言語の敏感期」があります。言語の敏感期とは、言葉や文字に興味を持つ時期です。胎児から5歳半頃とされており、この時期の子どもは、学んでいるという意識すらなく集中しているうちにいとも簡単に言葉や文字を吸収します。 

つまり、幼児期は「ことば」に強い感受性が表れる時期なので、この時期に「ことばの力」を育むのは効果的であると言えるでしょう。 

では、具体的にどのようなことを意識すればいいのでしょうか? 

今日から家庭でできる3つの方法を紹介します。 

1.語彙を豊かにする活動をたくさんしましょう 

「ことばの力」の土台は語彙です。幼児期に語彙を豊かにする活動をたくさんしたいものです。 

語彙を豊かにするためには、まずはたくさんのことばに触れることがポイントです。まだ発語はなかったとしても、言葉をためこんでいる最中なのです。たくさん語りかけてくださいね。 

昔ながらの「しりとり」や「かるた」なども、楽しみながら語彙を豊かにしてくれます。 

そして特にオススメなのが、絵本です。絵本は、音を楽しむことで語彙を豊かにしてくれます。また、絵本は感性も発達させてくれます。 

「どんな絵本を選んだらいいのかわからない」というお悩みもよく聞きます。 

小さいうちは、ファンタジーと現実の区別ができないので、現実とかけはなれたものよりも見慣れているものの方がいいでしょう。 

また、イラストが美しい絵本は、子どもも夢中になります。 

とはいえ、あまり効果などを考えすぎると絵本の時間が苦痛になってしまいます。 

保護者の方も一緒に楽しめる絵本を選んでみてくださいね。 

■0歳~2歳 オススメ絵本 

ころころころ  作:元永 定正 出版社:福音館書店

鮮やかな色の世界とリズム感のある文章が魅力です。 

赤ちゃんへの読み聞かせに特にオススメです。 

おつきさまこんばんは   作:林 明子 出版社:福音館書店 

1986年の発売以来、たくさんの子どもたちに支持されてきた絵本です。 

夜空を見上げながらお話したいですね。 

くだもの   作:平山和子 出版社:福音館書店 

写実的な絵で描かれたくだものは、どれもみずみずしくておいしそう。 

言語の敏感期に親子で読みたい1冊です。
 

■3歳~6歳 オススメ絵本 

おでかけのまえに   作:林 明子  出版社:福音館書店

ピクニックにでかける前のワクワクした気持ちを大切に描いた絵本です。 

両親が温かく見守るまなざしもすてきです。 

たべもののたび   作:かこ さとし  出版社:童心社

たべものが口から入って消化され、栄養となって排せつされるまでのプロセスをわかりやすく描いた絵本です。 

からだのしくみや食について、楽しく学べます。 

ほら、ここにいるよ このちきゅうで くらすためのメモ   作:オリヴァー・ジェファーズ 訳:tupera tupera 出版社:ほるぷ出版 

世界的絵本作家が、誕生したばかりの息子に向けてつくった絵本。宇宙の壮大さ、地球の不思議、生きている奇跡・・・・・・。何度でも読み返したい1冊です。 

2.「あれ」「これ」で済ませないで具体的に話しましょう 

お子さまとの会話。ついつい「あれ」「これ」で済ませていませんか? 

親子の間では、「あれ」「これ」でも通じてしまうかもしれません。しかし、「ことばの力」を育むという観点で言えば、「あれ」「これ」で済ませず、具体的に話す習慣をつけたいものです。 

成長するにつれて、様々なバックグラウンドの仲間と協働する機会は増えていきます。そのような場では、あうんの呼吸は通用しません。「ことばの力」、特に丁寧に説明する力が求められます。これからの変化の大きい社会では、このような力はますます重要になるでしょう。 

まずは保護者の方が、具体的に正しい言葉で話すようにしましょう。そうすることで、お子さまは語彙を豊かにすることができます。さらに、文法や文章構成力が身に付きます。 

日々の会話の積み重ねが、「ことばの力」を磨いていくのです。 

3.お子さまの話をよく聴きましょう 

「ことばの力」を育むには、語彙を豊かにするインプットだけでなく、アウトプットも重要です。 

アウトプットとは、文章を書いたり話したりすることで、考えたことや感じたことを伝えることです。頭の中で考えたり感じたりするだけでなく、実際に相手に伝えるのがポイントです。 

「言語化する」と言いますが、思考を言葉にできることは生涯強みになります。 

ここで重要なのが、アウトプットした際に、それを受け止める存在です。 

周囲の大人、中でも保護者が子どものアウトプットをよく聴き、受け止めることで、「ことばの力」は着実に磨かれていきます。 

アウトプットは、幼児でも大人でも「習うより慣れろ」の世界です。お子さまが安心してアウトプットできる環境を整えたいですね。忙しい毎日ではなかなか時間を取ることが難しいかもしれませんが、短い時間でも十分です。例えば寝る前に、「今日楽しかったこと」を話すことを習慣化するのもいいですね。 

その時、保護者の方はさえぎったり否定したりしないことがポイントです。また、先回りも禁物です。お子さまの考えや感情を大事に受け止め、まずは聴くことを意識できるといいですね。 

いかがだったでしょうか。「ことばの力」は日々の生活のなかで磨くことができる力です。 

できることから、ぜひ実践してみてくださいね。