新学期スタート!子どもが困難を乗り越える力を育むための おうちの方の「サポーター力」

はじめに

こんにちは!10学年差姉弟がモンテッソーリ園生活を経験しているママライター・さっしーmamaです。

入園・入学・進級の季節ですね!健やかで楽しく成長できる一年になりますよう、陰ながら応援しております。

新しい環境に踏み出す春は、大きな期待とともに、緊張・不安・疲れで子どもが不安定になりやすい季節でもあります。そこで今回は、「新しい環境に身を置くお子さまをサポートするために、おうちの方にできること」がテーマです。

お子さまがこれからの日々で向き合う不安や困難をしなやかに乗り越える力を育てるためにも、おうちの方のサポートは大切なポイントです!

園・学校の「オン」とおうちの「オフ」

成長への期待が高まる春。…にも関わらず、相変わらずのだらけ具合で、こんな調子で大丈夫かなぁ…と子どもに対して心配になってしまうのは、私だけではないはずです。「新しい学年になったんでしょ!しっかりして!」という会話が聞こえてくることもよくあります。子どもの成長を願う上でそう思ったり言ったりするのはごく自然なことかもしれません。

しかし、今の季節、改めて思い出したいのは、お子さまが新しい環境に身を置き、緊張しながら頑張っているということです。だからこそ、園や学校での「オン」モードの反動で、おうちでだらけてしまうことや、普段よりわがまま・不安定・不機嫌な状態を「出せている」ことは、リラックスして素の自分でいられるからこその「オフ」モードであり、張り詰めたゴムを緩めるようにバランスを取っているのかもしれません。

つまり、成長を願うはずの「ちゃんとしなさい」が、子どもを追い詰めてしまう場合があるということを、この時期は特に心の片隅に置いておきたいと感じています。

とはいえ、日々の生活や園の支度等、現実はそうも言っていられないという気持ち、泣けるほどわかります!だからこそ、家族みんなが無理せずハッピーでいられるサポートが理想的ですね。

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「みんながホッと心を緩められるおうち」が家族の基盤

おうちの大切な役割は「ゆっくり休息し元気を回復する」こと。スマホの充電をたとえにした話を時折耳にしますが、おうちでしっかりエネルギーを充電することで、そのエネルギーを使って園・学校・職場などで頑張れると言われます。大人も子どもも、これは一緒。心身ともに充電する基盤となるおうちのこと、改めて考えていきましょう。

まずはおうちの方がホッとできる環境に

仕事・家事・育児に追われて忙しい毎日の中で、自分のことは後回し、という方は多いのではないでしょうか。でも、子どもの一番の安心は、おうちの方の心からの笑顔

ご自身が子どもの頃、ご家族がイライラしたり、ケンカしたりする姿を目にして辛かった経験がある方もいらっしゃるのではないでしょうか。自分に関係なくても、気分やエネルギーがダウンしてしまいますよね

おうちの方が毎日を楽しく過ごしている姿があってこそ、子どもものびのび過ごせるもの。そのためには、「やらなきゃ」のハードルを少し下げて、家族みんなでできるだけゆとりを持てるといいですね。

おうちが子どもの発散場所であることを忘れずに

わが家でまさに課題となっていることですが、とにかく大声で騒ぐ、走る、暴れる、かと思ったら、ひたすらダラけて動かない(笑)

もー!ちゃんとして!って思ったり、不便・心労を感じたりしがちですが、意外と盲点なのが「子どものストレス発散場所がおうち(家族といるとき)しかない場合が多い」こと。思い切りはしゃいだり、だらけたり、思いのままのオフがあってこそ頑張れることを時々思い出して、目をつぶることも必要かもしれません。時には、一緒にハメを外して遊んでしまうのもアリかも!

そして、外遊びで気分転換したり、レジャーなど園・学校では味わえない楽しさを感じられるひとときを持ったりすることも、プラスに働くのではないでしょうか。

1人1人が尊重される環境のために

「大切で、いつも味方であることを伝える」…お子さまが自分自身を大切な存在だと感じられるようにするために、心がけているおうちの方は多いのではないでしょうか。それにプラスして、「1人の人間として尊重されている」と感じられるコツとして、知人から聞いた心に残る話がありました。

それは、子どもになにか話そうとする時、「仲の良い友達にも同じ言葉で伝えられるかどうか」を基準にするとよいという話でした。

例えば、盛り上がって声が大きくなって、少し静かにしてほしいなと思うとき。わが子になら「うるさい!静かに!」と言ってしまいがちですが、友達に同じ言い方はしませんよね。「もう少し声小さめがいいかも」と表現を変えても、「大きくなっている声を小さくしてほしい」という意図は伝わるはずです。

家族となるとつい遠慮せず、浮かんだ言葉をそのまま伝えてしまうことが誰しもあるかと思います。それが、肩ひじはらない素の家族関係だとも言えるかもしれませんし、「子どものことを思って」という要素が加わると、厳しく伝えたいシーンも多々あるでしょう。それに、わが家のように「そんな生優しい言い方では物理的に聞こえない」と途方に暮れるケースも、きっと多いはずです(笑)

でも、思いつくままや強い表現のまま言うのを「当たり前・標準」とせず、対等な1人の人間として尊重されていると感じられる関係性を築くために「仲の良い友達に言えるか」の基準はわかりやすいバロメーターとなるかもしれません。

心と行動のゆとりで子どもを叱る回数を最小限に

子どもにとって叱られることはエネルギーを消耗すること。時には必要なことですが、多すぎるとおうちの外で頑張るエネルギーが残らなくなってしまいます

これは私がよく反省することでもあるのですが、子どもが叱られるシーンが100%子ども起因ではない、本当はもっと減らせられるかもしれないと感じる点が2つあります。

1つ目は「事前に対処できていれば子どもを叱る状況にならずに済んだかもしれない」ということです。

例えば…

  • もう少し早めに行動していれば、その後「早くして」と子どもを急かす必要がなくなったかもしれない
  • もう少し食べさせていれば、お腹が空いてきて機嫌が悪く、騒いで叱る状況にならなかったかもしれない

忙しい日々の中で、このようなことが起こるケースもあるのではないでしょうか。ゆとりを持った、先を考えた家族の行動で子どもを叱る状況が減らせることもあるかもしれません。

2つ目は「大人の不安定さが起因となって叱ってしまう」状況は減らせる、と言うことです。人間ですもの、当然、疲れ・体調不良・忙しさで、普段より叱りやすくなってしまうことはあり得ます。ただ、それを自覚して、できるだけ大人が良いコンディションを保つよう心がけておくことで、少しでも「イライラしてつい子どもに強く当たってしまう」ことを避けられるかもしれません。

健やかな食事・睡眠・生活リズムでパワー充電!

おうちは「生きるエネルギーを充電する場所」。安心・リラックスはもちろんですが、食事・睡眠・生活リズムなどの基本的な生活習慣によって元気・体力を蓄えることも非常に重要です。風邪に対する抵抗力のように、よく食べ、よく眠り、健やかな状態でいることが「困難や不安を乗り越える基礎体力」となります。だからこそ、家族でおいしい食事をとり、安心してゆっくり眠る…そんな基本の生活を大事にすることが何より大切です。

困難をしなやかに乗り越える力を育む

おうちが安心してエネルギー充電できる基盤となったら、次は、子どもが困難や不安を乗り越える力を育むコミュニケーションについて考えていきましょう。

行動の背景にある思いをまず想像する

例えば、不機嫌で乱暴な態度を見せるとき。人や物にダメージを与えてしまうかもしれず、直ちに止めさせる必要があるかもしれません。しかし、「乱暴な態度が止まれば解決」ではありません。問題となる行動が現れたときは、その背景をまず想像することが大切です。不機嫌さや乱暴さが空腹・体調起因なのか、緊張や不安が緩められていないサインなのか、何かが思うようにできず悔しいのか、言葉で思いを表現したいのにうまく表現できずもどかしいのか…それを考えて、叱る「次」のアプローチを考えることが大事なのではないでしょうか。

わが子(年長男子)も数ヶ月前、すぐ不機嫌になってものに当たったり、乱暴な態度を毎日のように見せたりして困ったことがありました。止めると余計暴れて痛い思いをすることも。結局、それは大きな行事を控え、集団行動が苦手な年下のお友達のお世話と難しい誘導を行事練習で毎日こなしていたからでした(行事が終わったらピタリとなくなりました)。大切な役割だけれど、疲れや負荷を感じ、発散しきれないまま…そして、うまく言葉にできず暴れてしまう。このとき「これも反抗期かな?」と考えてしまい「背景を想像する」ことが足りていなかったなと、学ぶことの多いちょっぴり苦い経験でした。

ネガティブな発言も、まずは受け入れる…本当は乗り越えたい!

例えば、鉄棒にチャレンジをするとき。「怖い、やりたくない」と嫌がる子どもに「大丈夫、怖くない!」と言ってしまうこと、ありませんか。もちろん、時には「だまされたと思ってやってみる」勢いも大切ですが、実はこれ、「怖い」という子どもの感情を否定していることになります。元気づけ背中を押したい動機でも、思いの否定が積み重なれば「何かを言ったら否定される」「自分の気持ちなんて誰もわかってくれない」と感じ、思いを言葉にできなくなってしまいます。弱音をはくときは、不安やモヤモヤが頭の中を占拠して、チャレンジする勇気が入る隙間がないだけ、ということも多いもの。本当は乗り越えられたら…と考えていることも多いのです。

 ネガティブな思いを言葉にできたことは、すごいこと。まずは思いに寄り添い、「怖いんだね」と気持ちを受け止めてあげることが大切です。頭の中のモヤモヤが出ていくのを少し待ってあげて「じゃあ、どうしたいかな?」と優しく尋ねると、「やってみる!」と自ら困難にチャレンジする勇気が出てくるかもしれません。

いつでも何でも気軽に話せる関係性を築く

子どもがネガティブな思いをおうちの方に話すのは、話したいと思える関係性があってこそ。だから、普段から何気ない話題を話せる環境が、いざというときに正直な思いを話せる環境につながります。大事なのは、たとえ幼くて話の流れが変でも、否定・反論しないこと。大人でも、友達との雑談でいちいち違う意見を返されたり、すぐ話を遮られたり、良かれと思ってアドバイスされていると、なんだか話したくなくなりますね。子どもも一緒で、のびのびと意見を言うためには「否定されない環境」が大事で、まずは受け入れ落ち着いたあとに、必要なことだけ訂正する、という順番が大切です。良いことも悪いこともたわいもないことも何でも話せる環境は、思春期や大人になっても大切な心の基盤となるはずです。

「思いを言葉にする」習慣が生きる力に

雑談から悩み・愚痴まで、「どう思った?」「どうしたいかな?」と思いを言葉にする習慣づくりは、困難に立ち止まった時にも、思いを言葉にする力になります。わが子の園でも、感想を発表する場が多く設けられていたり、おともだちとのトラブルになったりした時には「いやだった」「やめてほしい」と相手に伝えることを大切にしています。自分の気持ちを言葉で伝え、わかってもらうことで、自ら解決へと導けます。

それに、誰かに話すことで頭が整理されて「いちばん伝えたいこと」や「本当はどうしたいか」という本質が見えてくると言う意味でも、思いを言葉にする力は役立ちます。

まとめ 

今回は、困難を乗り越える力を育むためのおうちの方の「サポーター力」というテーマでしたが、いかがだったでしょうか。

安心して過ごせる「おうち環境」と、どんな思いも否定されないコミュニケーションは、子どもの大切な「自己肯定感」を育みます。子どもの良いところだけではなく、むしろ「うまくいかない部分」こそ大切に受け止めてあげたいですね。気持ちを認めてもらえた子どもは。本当はどうしたいか、どうする方がよいか、乗り越えるための答えを心に持っています。

思いを言葉にできる力は、諦めず困難に向き合い克服するという「非認知能力」ともいえます。大人になっても必要な大切な力です。

子どもが将来人生をしなやかに生きていくために、おうちの方がサポートできることはたくさんあります。新しい環境に身を置く子どもと「家族時間を一緒に思いっきり楽しむ」ことこそが、何より大切なことなのかもしれません。