「ChatGPT」の登場で教育や子育てはどう変わる?人間ならではの強みや得意がフォーカスされる時代に

はじめに

世界で急速な広がりを見せている「ChatGPT」などの生成AI。ChatGPTの登場は、教育や子育てにも大きな変化をもたらしています。

「ChatGPTってそもそも何?」「子育てや教育にどんな影響があるの?」と不安に思っている方も多いかもしれません。

チエコトバ代表の筆者は、2010年頃からEdTech(Educationと Technologyを組み合わせた造語)の最前線で仕事をしてきました。データテクノロジーを活用した教育プラットフォームのプロデュースにも携わってきました。

それらの経験も踏まえ、本記事では子育て中の方に知っておいていただきたいChatGPTにまつわる最新トピックをご紹介します。

今後も続々と新技術の登場が予想されます。これからの教育や子育てにおいてテクノロジーとの向き合い方を考える参考になれば幸いです。

ChatGPTって何?ブレイクスルーを起こした対話型AI

最近話題のChatGPTって何でしょうか?
詳しい説明は専門書などに譲るとして、ここでは簡単にご紹介します。

ChatGPTは2022年11月末に発表された対話型AIです。世界中で注目を集め、公開2か月で世界のユーザー数が1億人に達するほど急速に拡大しています。

これまでも、技術としては存在していましたが開発者向けの限られたものでした。これほど注目を集めたのは、誰でも無料で手軽に使えるようになったからです。ChatGPT公式サイト(アプリもあり)にアクセスし、会員登録することで簡単に利用できます。一般的なチャットツールと同じように、チャット欄に質問を入力すると、それに対して答えが返ってきます。日本語も問題なく使えます。

筆者もはじめて使った時は、自然な言葉づかいに驚きました。これまでのような「いかにもAIだな」と感じる不自然な文章ではなく、まるで人間と会話をしているような答えが返ってきたからです。生成AIなので、新しいテキストを作ることに強みを持っているのが特長です。

例えば、下記は実際にChatGPTに「子どもの野菜の好き嫌いをなくすコツ」を聞いてみた画面です。質問するとすぐに返答が返ってきます。文章としても自然で、内容も参考になりますよね。

しかし使っていくうちに、「万能なツールではない」こともわかります。事実と異なる答えを返されたり、かみ合わない会話になったりすることも多々あるからです。また、最近の話題にも対応できません。
とはいえ、ChatGPTをはじめ生成AIはすでに社会に大きな影響を与えています。そして教育や子育ての現場にも確実に浸透してきています。子育て中の方は、特に教育や子育ての現場において「今どんなことが起きているのか?」「何に気を付ければいいのか」を知っておくといいでしょう。

文部科学省が生成AIの利用に関する暫定的なガイドラインを公表

では、教育現場での生成AIの利用状況はどうなっているのでしょうか。

文部科学省は2023年7月4日に初等中等教育段階における生成AIの利用に関する暫定的なガイドラインを公表しました。夏休み前のこのタイミングで公表したのは、夏休みの宿題にChatGPTを使う生徒が多いと予想されたからでしょう。

このガイドラインの冒頭には

「⽣成AIは黎明期にあり、技術⾰新やサービス開発が⾶躍的なスピードで進展している。こうした中、教育現場においても、様々な活⽤のメリットを指摘する声がある⼀⽅、⼦供がAIの回答を鵜呑みにするのではないか等、懸念も指摘されている。その⼀⽅で、児童⽣徒や教師を含め、社会に急速に普及しつつある現状もあり、⼀定の考え⽅を国として⽰すことが必要である

とあります。

また、「⼀律に禁⽌や義務づけを⾏う性質のものではない」とし、暫定的とあるように今後も機動的に改訂を行うことが明記されています。

これは学校現場のガイドラインですが、子育て中の方にも参考になります。

例えば、AIの活用が適切な例と適切ではない例は具体的でわかりやすいでしょう。

■生成AIの活用が適切な例

・グループの考えをまとめたり、アイデアを出したりする活動の途中段階で、⽣徒同⼠で⼀定の議論やまとめをした上で、⾜りない視点を⾒つけ議論を深める⽬的で活⽤させること

・英会話の相手として利用すること

・発展的な学習として、⽣成AIを⽤いた⾼度なプログラミングを⾏わせること

■生成AIの活用が適切ではない例

・⽣成AI⾃体の性質やメリット・デメリットに関する学習を⼗分に⾏っていないなど、情報モラルを含む情報活⽤能⼒が⼗分育成されていない段階において、⾃由に使わせること

※特に小学校段階の児童に利用させることは慎重な対応を取る必要があることも記されています

・各種コンクールの作品やレポート・⼩論⽂などについて、⽣成AIによる⽣成物をそのまま⾃⼰の成果物として応募・提出すること

・定期考査や⼩テストなどで⼦供達に使わせること

いずれにしても、すべての学校に対して、情報の真偽を確かめることの習慣づけなど、AI時代に必要な資質向上を図る重要性が強調されています。

家庭でもどのようにChatGPTのようなテクノロジーと向き合うのか、この機会に話し合ってみるのもいいですね。

人間ならではの強みがフォーカスされる時代に

そして忘れてはならないのが、デジタル時代だからこそ人間ならではの強みもフォーカスされるということです。

文部科学省のガイドラインにも

「⼈間中⼼の発想で⽣成AIを使いこなしていくためにも、各教科等で学ぶ知識や⽂章を読み解く⼒、物事を批判的に考察する⼒、問題意識を常に持ち、問を⽴て続けることや、その前提としての「学びに向かう⼒、⼈間性等」の涵養がこれまで以上に重要になる。そうした教育を拡充するためには、体験活動の充実をはじめ、教育活動におけるデジタルとリアルのバランスや調和に⼀層留意する必要がある

とあります。

よく「AIが人間を超える」と言われますが、どんなに技術が発展したとしても、人間のように意思や心を持つAIはできないだろうと断言する専門家は多くいます。私自身はAIの専門家ではありませんが、EdTechに携わり続けてきた経験から、AIを使いこなすのは人間であり、AIがこれだけ進化しているからこそ、人間にしかできないことがこれからよりフォーカスされる時代になるのではないかと考えています。

「指定したものを大量に生成する」「正解を見つける」といったことはAIが得意です。しかし、それを指示し、判断し、選ぶのは人間です。だからこそ、一人ひとりの価値観や強みが今後はより重要になるでしょう。

モンテッソーリ教育で大事にしている身体と五感を使った学びやチエコトバで育んでいる思考力・表現力・非認知能力などは、人間ならではの力。幼児期から好きなことや得意なことに没頭した経験は、人間ならではの力をより活かす方向に導いてくれるでしょう。また、それらの経験はAIなどのテクノロジーを使いこなすためにも欠かせない力となるはずです。

テクノロジーとの向き合い方について考える際には、デジタルとリアルのバランスや人間ならではの力を育むという視点も忘れずにいたいですね。

子育てや進路、相談しながらわが家の最適解を考えませんか?

ChatGPTなどの生成AIはひとつの例ですが、子育てや教育をめぐる変化も激しいなかで、子育てや家庭の教育方針に迷ったり悩んだりすることも多いのではないでしょうか?

チエコトバでは、保護者の方に向けたマンツーマンの子育てコンサルティングも提供しています。チエコトバ代表は、20年以上の教育業界キャリアを持ち、現在も0歳から社会人まで全年齢の教育に携わり続けています。それらの経験とエビデンスに基づいて、ご一緒にありたい姿を考えます。

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