「ヤバい」で済ませない!親子で育む「ことばの力」

はじめに

自分の考えを伝えたり、他者と協働したりするのに不可欠な「ことばの力」。また、「ことばの力」は学力にも大きな影響を及ぼすこともわかっています。チエコトバでも、「ことばの力」は未来を切り拓く重要な力であると考えており、名前の由来にもなっています。 
子どもは生まれながらに「ことば」を学習しますが、本当の意味で「ことばの力」を身につけるのは簡単ではありません。
実際、学校からも家庭からも「最近子どものことばの乱れが気になる」「会話によるコミュニケーションが難しい子が増えた」などの声をよく聞きます。

子どもの「ことばの力」を磨くためには、周囲の環境が非常に重要です。今回は主に幼児、小学生を対象に、「ことばの力」とは何か、「ことばの力」をどのように育んでいけばいいか考えていきたいと思います。

小学校低学年の学力差は〇〇の差

小学校学習指導要領にこんな記述があります。

『中央教育審議会答申において、「小学校低学年の学力差の大きな背景に語彙の量と質の違いがある」と指摘されているように、語彙は、全ての教科等における資質・能力の育成や学習の基盤となる言語能力の重要な要素である。』出展:【国語編】小学校学習指導要領(平成29年告示)解説

「ことばの力」の土台となるのは語彙力です。その語彙力が学力差につながっているというわけです。これを踏まえて、現行の学習指導要領では「語彙」に関する指導事項が新設されて、質と量の両面から語彙の学びが充実されています。
もちろん学力面だけでなく、「ことばの力」は他者と協働したり、自分の考えを整理したり、それを適切に表現したり、人が生きていくうえであらゆる基盤になる力です。人間が他の動物と違い、高度な思考ができるのは、ことばを持つからです。

今後、様々なバックグラウンドを持つ人と関わる機会は増えます。そのような場であうんの呼吸は通用しません。「ことばの力」は全人的な力です。「ことばの力」をつけることは生きていくうえで必須スキルであり、ことばが豊かであればあるほど、よりよく生きる力につながっていくと言えるでしょう。

子どもはどうことばを獲得するか

ここで、子どもはどのようにことばを獲得していくかを見ていきましょう。赤ちゃんや幼児は、大人にことばを教えこまれて、ことばを話すようになるでしょうか?

そうではないでしょう。子どもは生まれながらにことばを学習します。生まれてすぐどころか、母語のリズムやイントネーションの学習は、赤ちゃんが母親のおなかのなかにいる時から始まるくらいです。音声言語(話しことば)に関しては、教えなくても無意識のうちに周囲の環境から吸収し、学びます。そして、すでに学んでいることばを使って、新しいことばをどんどん身につけます。

だからといって、自然に任せればいいというわけではありません。「ことばの力」を本当の意味で育むのは非常に難しいのです。ひとつのことばでもいろいろな意味があります。ことばの持つ多様な意味や用法をきちんと理解して、使いこなすのは大人だって難しいもの。

子ども達は、ことばを学ぶとともに思考力や知性も発達させていきます。このすばらしい学習する力を生かし、磨くためには、周囲の環境が非常に重要になるのです。

「ヤバい」で何でも表現する子ども達

語彙力は、「ことばの力」の土台。様々な事柄を表現するためには豊富な語彙力が必要です。

昨今の小中学生達の会話を聞いていると「ヤバい」「エグい」といったワードがよく出てきます。その意味するものは実に幅広く、マイナスなことだけでなく、「感動した」「おいしい」のようなポジティブな意味でもよく使われています。そういう意味では便利なことばと言えるでしょうし、おそらく深く考えずにテンポのいい会話のなかで表現しているのだと思いますが、SNSも含めて深刻なトラブルになることもよくあります。

作家の石井光太氏が子ども達のことばを奪う社会の病理と国語力再生の最前線を描いたノンフィクション『誰が国語力を殺すのか』(文藝春秋)にこんな文章があります。

「物事を細部まで感じ取るためには、豊富な言葉が必要だ。先の例でいえば、すべてを「死ね」でまとめてしまうのではなく、「裏切られたことが残念だ」「仲間を信じてほしかった」「どうして彼はああしたのだろう」といった多彩な表現をすることで感情をグラデーション化させる。それにより、自分の感情や、相手の心の機微を知覚できるようになる。

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筆者は小学生から社会人まで文章力研修や作文ワークショップを行っていますが、その経験からも「多彩な表現をすることで感情をグラデーション化させる」という表現に深く共感します。研修やワークショップでも、わかっているけれど、感じているけれど、いざ表現しようとすると、「何を書いていいのかわからない」と手が止まってしまう光景をよく目にします。また、書こうとすると「面白かった」「楽しかった」という平易な表現に終始することもよくあります。考えたこと、感じたことを適切に言語化するのは本当に難しいのです。

だからこそ、「ことばの力」は自然に任せるのではなく、学校や塾任せにするのではなく、「家庭で育む」「親子で育む」意識が大事だと思うのです。

ことばの力を家庭で育む鍵は「良質なインプット」

ことばの力を家庭で育むために大切なのは、「良質なインプット」そして「親子でことばを楽しむ」ことだと考えます。良質なインプットとは特別な教材などではありません。日常のなかでの会話、コミュニケーションが基本になります。

例えば、家庭での日常会話でどのようなことばを使っているでしょうか。ことばを大切に、丁寧に扱うこと、それこそが良質なインプットになります。また、普段から親子の話し合いを大切にしていたら、子どもも考えや感情をことばにして伝える習慣がつきます。反対に、何か起こった時に頭ごなしに叱るだけ、子どもの意見に耳を傾けないでいると、子どもは自分の考えをことばで整理したり、表現したりすることをあきらめるようになります。多くの中高生と接してきた経験からも、ことばの力を育むには「ことばによるコミュニケーションの力を信じられるか」ということも大切だと実感しています。

また、ことばの力は知識として知っているだけでは向上しません。得た知識、語彙を実際にことばにして伝える、相手の反応を含めたコミュニケーションを繰り返していくなかで磨き上げていくものです。また、ことばの多様な意味を理解するには、相応の経験や発達も必要です。例えば、小さな子どもが「愛する」ということばを知っていても、理解が深まらないのは当然です。様々な経験をして、その時の感情を丁寧にことばにしてみる、それを共有しあうことでだんだん表現は多彩になり、理解も深まります。

また、ことばの力を育むには、親子で一緒に楽しむこともポイントです。正しいことばを子どもに教えよう、と思うと大変です。大人も知らないことばはたくさんあるでしょう。一緒に知らないことばを調べたり、本を読んだり、親子の会話や語りかけを楽しむ気持ちでいるのが最も効果的です。

また絵本の読み聞かせや読書は、語彙力だけでなく、「ことばの力」を構成する情緒力(感じる力)や想像力(想像する力)を育むうえでも大事にしたい習慣です。

こうした日々の積み重ねが「ことばの力」の基礎となり、自分のことばで考えを整理し、相手に伝わるように表現したいという原動力になります。

チエコトバはモンテッソーリ教育をベースに「ことばの力」を育みます

モンテッソーリ教育をベースに自ら学ぶ力を育む「チエコトバ」では、未来を切り拓く力として「ことばの力」を大切にしています。

レッスンでは、モンテッソーリ教育で培われる知性や論理的思考力、言語能力などをアウトプットするところまでを重視しています。自分の頭で考え、他の人にわかるようにまとめ、表現する体験を重ねることで、人生の土台となる思考力や表現力を育みます。

現在、モンテッソーリ幼児コース(2歳~年長対象)のレギュラー会員を募集中です。少人数限定のため定員になり次第募集終了となります。土曜クラスは満席が続いていましたが、今なら年長卒業生の空き枠があるため、土曜クラスも体験・入会可能です。この機会に、体験レッスンにお越しくださいね。

夏休みには、小学生を対象に作文を通して「ことばの力」を育む「読書感想文ワークショップ」を予定しています。詳細は近日公開しますので、公式LINEに登録してお待ちください。

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